
源田の後継者育成がチームの重要課題
新人の年から遊撃の定位置をつかみ、攻守の中心選手だった源田だが、守備の負担を考えると、後継者の育成が重要なテーマになっていた。
昨秋のドラフトが象徴的だった。西武は1位指名で明大のアマチュア球界№1遊撃手・宗山塁を獲得しようとしたが、楽天にクジで敗れる。外れ1位で花咲徳栄の遊撃手、石塚裕惺を指名したが、また巨人にクジで敗れた。すると外れ外れ1位で金沢高の遊撃手、齋藤大翔を指名して獲得。徹底して遊撃手にこだわる指名を見せた。
仮定の話だが、宗山が西武に入団していたらどのような起用法だったのか。前出の西武を取材するライターは「宗山を遊撃で起用し、源田は二塁にコンバートしていたんじゃないですかね。脚力が落ちて盗塁数が減っていますし、技術は錆びついていないですが、守備範囲は全盛期に比べると少しずつ狭くなっている。数年後のチーム作りを見据え、二塁にコンバートするのは現実的な選択肢だと思います」と推測する。
その源田の後継者として、頭角を現したのが滝澤だった。身長は164㎝で、NPBの選手の中で最も低い。新潟の関根学園高校では甲子園出場とは縁がなく無名の存在だったが、育成ドラフト2位で入団すると、1年目から源田のバックアップ要員として支配下に昇格した。本職は遊撃だが、今年は二塁で定位置をつかみ、打率2割7分前後をキープ。西川に次ぐチーム2位の10盗塁をマークしている。育成入団からわずか4年の期間で定位置をつかむ成長ぶりには、目を見張るものがある。
他球団の首脳陣は「イメージで近いのは石井琢朗さん(現DeNA野手コーチ)ですかね。小柄だけど身体能力が高く、身のこなしにセンスを感じる。ファームの時から見てきましたけど、打撃も当てにいくのではなく、速い球を引っ張る力強さがある。二塁打、三塁打を量産できると思います。高卒4年目ですから、大学4年生と同じですよね。大卒だったらドラフト1位で指名される実力に達していますよ」と評価する。