メジャーデビュー登板をしたナショナルズの小笠原慎之介(AP/アフロ)
メジャーデビュー登板をしたナショナルズの小笠原慎之介(AP/アフロ)
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 厳しい現実が待ち受けていた。ナショナルズの小笠原慎之介が7月6日に本拠地で行われたレッドソックス戦でメジャー初登板を飾ったが、3回途中で7安打4失点と打ち込まれて降板。試合を作ることができず、チームは敗れた。

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 球が全体的に高く、空振りが取れない。初回に本塁打を含む4長短打を浴びていきなり4点を失うと、3回に2死一、三塁のピンチを招いて降板。米国のスポーツ専門放送局・MASNは「初回から非常に長い一日を予感した。小笠原の投球を見ると、メジャーリーグの舞台にふさわしいレベルに達していない」と厳しい論調だった。

 さらに、この試合後に激震が走った。ナショナルズはマイク・リゾGMとデーブ・マルティネス監督を電撃解任したことを発表。19年にワールドチャンピオンに輝いたが、20年以降は5年連続で勝率5割以下と低迷。今季も借金16でナ・リーグ東地区の最下位に低迷していた。CJ・エイブラムズ、ジェイムズ・ウッドなど将来有望な若手野手が台頭していたが、チーム防御率5点台と投手陣が崩壊状態となり、現体制でのチーム再建は困難と判断した。

GM解任で小笠原の立場も苦しくなる?

 現地で取材するスポーツ紙記者は、以下のように語る。

「ナショナルズはFAで大物選手を獲得し、年俸の一部を後払いする方式で10年代に黄金時代を築きましたが、現在は資金力がないため外部補強で後れを取ってしまう。若手の育成に注視すると共に、低年俸で大化けしそうな選手を探し、獲得に踏み切ったのが小笠原でした。日本で目立った実績がなくメジャー挑戦の際もメジャー他球団の評価は高いと言えませんでしたが、ナショナルズはイニングイーターとしての役割を期待した。ところが、開幕メジャーを勝ち取れず、マイナー傘下でも結果を残せず、先発陣の深刻なコマ不足で巡ってきた今回のメジャーデビュー戦でも苦しい内容だった。リゾGMが解任されたことで、小笠原の立場も苦しくなるかもしれません。2年契約ですが、チームを刷新するために早い段階でメジャーの40人枠から外れる可能性があります」

 メジャーの40人枠から外れる措置をDFAというが、この状況になると立場が厳しくなる。他球団からオファーがなければ、マイナー契約も現実的だ。

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