メジャーでプレー経験のある選手が明かす。

「米国は実力の世界だと言いますが、現実は違います。マイナーでいくら結果を出しても、メジャーの40人枠に入る選手のほうが起用で厚遇される。小笠原は幸運だったと思いますよ。メジャー契約を結んでいたから、マイナーで結果を出していないにもかかわらず、デビュー戦のチャンスを与えられた。ただ球団の期待値はそこまで高くなかったと思います。直球で空振りが奪えず、制球が良いとも言えない。変化球も日本球界で平均レベルでした。厳しい言い方をすれば、今のままではメジャーで通用する道が見えません」

 昨オフにポスティングシステムで中日からメジャー挑戦を決断した小笠原だが、当初から苦難が予想されていた。21年から4年連続規定投球回数に到達したが、絶対的な球種があるわけではない。昨年は24試合登板で5勝11敗、防御率3.12。リーグ最多の負け数で、防御率も規定投球に到達した投手の中でリーグワーストだった。144回1/3を投げて82奪三振と、前年までに比べて三振奪取率が大幅に低下していたことも気になった。

 ポスティング交渉期間終了間際にナショナルズと2年総額350万ドル(約5億4300万円)で契約を結んだ際は話題になったが、オープン戦に5試合登板して防御率11.25と結果を残せず3月下旬にマイナー降格。3Aでも痛打を浴びる登板が続き、右脇腹痛で1Aのリハビリから再スタート。主力の故障で巡ってきたメジャーデビューのチャンスも生かせなかった。

日本球界復帰も選択肢に

 今後の小笠原はどうなるだろうか。

「ナショナルズは先発の枚数が足りていません。もう一度チャンスを与えられる可能性がありますが、現段階では不透明ですね。DFAとなった場合、他球団が獲得に乗り出すことは考えづらい。日本球界復帰も選択肢の一つになるでしょう」(前出のスポーツ紙記者)

 メジャーで思うような結果を残せていなくても、日本球界で需要が高いケースは多い。有原航平(ソフトバンク)、上沢直之(同)、秋山翔吾(広島)、筒香嘉智(DeNA)はメジャー挑戦で結果を残せなかったが、NPBに復帰する際には複数球団の争奪戦になった。

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