昨年の都知事選後に妻・里奈さん(左)と談笑する安野氏
昨年の都知事選後に妻・里奈さん(左)と談笑する安野氏

選挙では「AIアバター」も用意

――ただ、基本的な考え方として、「普段から予防行動をしていない人や自己責任で病気になった人は、適切な予防行動をとっている人と比べて十分な医療や社会保障を受けられない」ことを許容しているのでしょうか。

 そうではありません。予防行動をとった人にプラスのインセンティブを導入することはいいですが、今回の案は人命にかかわる疾患で予防していない人に対してマイナスのインセンティブを導入する形になっていました。こうしたことには非常に慎重である必要があると考えています。

――医療や福祉はコストパフォーマンスという考え方がそぐわない部分が大きい分野ですが、社会保障費が増大し続けるなか、現実的な分配も考える必要があると思います。この矛盾にどう向き合いますか。

 バランスを取ることですね。今のまま医療費が増大すると制度全体が立ち行かなくなり、制度が破綻するとよりひどい事態になることは明らかです。制度の破綻は全力で避けるべきです。そのなかで、どこまでの医療費をどう削減するのか、慎重に話を進める必要があると思っています。健康増進に寄与していない「無価値医療」は見直していくべきでしょう。また、高齢化社会のなかでは長期で慢性疾患を緩和したり、起きないようにしたりすることによりインパクトが出る状況になっています。例えばシンガポールでは運動などの健康的な行動でポイントがもらえる制度がありますが、そうした予防行動に対するプラスのインセンティブも考えていくべきでしょう。

――間もなく選挙戦が始まります。どう戦いますか。また、AIはどのように選挙戦に活用するのでしょうか。

 選挙戦はオンラインとオフライン、ハイブリッドで戦います。街頭演説、個人演説会はもちろんオフラインでやっていきますし、動画、テキストを使った発信も同時に進めます。加えて、AIを使った対話型マニュフェストやAIアバターも用意して、双方向型のコミュニケーションをやっていきます。

――議席を取った場合、政権与党はじめ既成政党との向き合い方はどう考えていますか。

 これはもう、是々非々です。政策面では、考え方が同じ人たちと与野党問わず協力して動いていきますし、違う人たちとは議論をします。それとは別に、例えば政治資金の透明化など技術を使うことでよりよくできるものが多いと思います。そのためのサポートや協力は与野党問わず惜しみません。

(聞き手・構成/AERA編集部・川口穣)

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