炎上した「ぜんそく治療薬」投稿の真意

――チームみらいが参院選の目標に掲げているのは2議席です。仮に2議席取れたとしても、それで何かを変えられるのでしょうか。

 ふたつの意味で変えられると思っています。ひとつは抽象的ですが、スタートアップ企業の参入と同じで、旧態依然としたマーケットに新しいプレイヤーが登場すると業界全体に緊張感が走ります。新しい勢力の提案や実行を見て、既存の勢力も新しい取り組みを始める。我々が国会に参入することが、永田町に変化を呼ぶと思っています。

 もうひとつは具体的な話です。得票率2パーセントに達すると政党助成法上の国政政党になり、政党交付金が交付されます。得票率にもよりますが、1人でも年間1億5千万円くらい、2人当選すれば2億5千万円くらいになると思います。我々はそのお金で、永田町にエンジニアのチームをつくろうと思っています。1億5千万円あれば、10人くらいのソフトウェアエンジニア、リサーチャー、デザイナーらからなるチームをつくることができます。これはチームみらいに紐づくことになりますが、永田町にそうしたチームがあることで今までとは全く違ったアプローチの施策をいくつも打つことができます。例えば、ソフトウェアをつくってオープンソースにして、全国の議員さんや自治体、政党に使っていただくというようなことを考えています。

――安野さんは先日、ぜんそく治療薬の保険適用除外問題に関連し、「予防を全くしていないにもかかわらず発作を起こしたときにその場しのぎの薬をもらう方は保険で対応しない」という考えをXに投稿し、大きな批判を浴びました。その後、お詫びと訂正をしていましたが、何を目指した政策だったのでしょうか。また、投稿にはどのような問題があったと考えていますか。

 患者さんにとって、どうやってよりよい医療を目指すのかという文脈での議論でした。普段から予防にインセンティブを与えることで、より自然な形でより健康になるよう誘導できれば患者さんにとってもプラスになります。さらに、副産物として医療費増大の問題にも寄与するのではないかということで、案の検討を進めていました。ただ、議論が生煮えでレビューも不十分ななかで投稿してしまいました。何らかの理由で予防ができない方がいらっしゃる可能性については多くのご意見をいただきましたし、医師の処方でも保険適用外になるような記載をしてしまったことも反省しています。

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