
昨年の東京都知事選にも出馬したAIエンジニアの安野たかひろ氏(34)が、政治団体「チームみらい」を立ち上げ、参議院議員選挙に挑戦する。自身を含めた3人を比例区、12人を選挙区に擁立し、2議席の獲得を目指すという。都知事選でも注目を集めた明晰な頭脳に注目が集まる一方、最近はSNSに投稿した政策が“炎上”する騒動もあった。異色のエンジニアは国政で何を目指すのか。単独インタビューで聞いた。
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――昨年、政治経験がない中で東京都知事選に出馬し15万票余りを集めましたが、今度はなぜ国政に挑戦するのでしょうか。国政でやりたいことは。
永田町を動かすためには自分が永田町に入るしかないと思った、というのが理由です。都知事選以降、いろいろな選択肢がありました。首長なのか、議員なのか、あるいは第三者的な形で外部から政党を助けたり、行政に対して支援をしていったりするのか。ただ、外から助けるという方法は変えられる範囲に限りがあるし意思決定にも関われません。首長を目指すにしても、東京以外の財政状況では基本的に攻めの投資ができる自治体はない。一方、国政の議員であれば変えられることが実はたくさんある。それも既存の政党に入ると時間がかかりますが、新党であればすぐに効果が出せると考えたんです。
私たちが目指すのは、党(政治団体)の名前の通り、未来への投資です。テクノロジーを使って、長期的な成長ができる構造に変えていきたい。子育て、教育、科学技術研究など、未来に資するところに大胆に投資していきたいと考えています。それと、民主主義のアップデート。いま、合意形成ができずにスタックしてしまう場面が増えています。ここにテクノロジーを使って、今まで以上に国民の声が届く政治にしてきたいと考えています。
――国民の声が届く政治とはどのようなものでしょうか。
いまの民主主義は、基本的には選挙でしか自分たちの意志を伝えられません。でも選挙って、数人の中からだれを選ぶかという数ビットの情報量でしかありません。そうではなくて、国民が日々いろいろなことに意思表明し、議論し、それが政策や法案に反映される。選挙では通らない少数派の意見も、個別の議論においては結果につながる仕組みをつくれるのではないかと考えています。既に台湾では実装されている仕組みで、この10年で200件弱くらいの法案や政策が市民提案で通っています。決して夢物語ではありません。
実は私たちのマニュフェストも、AIとの対話方式で有権者とディスカッションし、有権者が我々に変更提案書を出せる仕組みになっています。この1カ月で、2600件ほどの変更提案書を頂きました。