
高齢者を支える介護の現場では、訪問介護は主にヘルパー、施設介護(生活介護)は生活相談員や看護師、通所介護(デイサービス)は介護士や機能訓練指導員と、さまざまな業種のスタッフと関わることになる。希望していた形でサービスを受けられなかったとき、カスタマーハラスメント(カスハラ)をしていると見られずに不満や要望を伝えるための「作法」とは。
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気をつけるべきは、言い方とその頻度
「熱心な家族が、職員に対して『プロだろう』と言いたくなる気持ちはよくわかりますが、要求や指摘の言い方、頻度によってはハラスメントになります」
日本介護福祉士会の前会長で、熊本市内の特別養護老人ホームで施設長を務める石本淳也さんは、こうアドバイスする。
高圧的な言い方や、『絶対にやれ』といった一方的な言い方はせず、丁寧かつ冷静に、そして正しく伝える努力が必要と指摘する。
そして、伝えるタイミングや相手にも気をつけるべきだという。
伝える相手は、現場のリーダー格や施設長。伝えたい内容を冷静になって考えるためにも、メモなどに書いて一晩寝かせるのがお勧めだ。
口頭で伝えるなら、事前に日程を調整して、直接会って話すようにする。電話をするなら、現場が忙しい食事介助の時間などを避けるべきだという。