たとえば、看取りケア(看取り対応)ができる施設が増えているが、対応していないところもある。また、胃ろうや気管切開などの医療行為が必要になったときに、退去しなければならない施設もある。
緊急時に病院や別の施設へ移ることになるので、事前の確認は必須だ。
前出の石本さんは、こう指摘する。
「介護サービスは、あくまでも公的制度の中で提供される『公助・共助』であり、できることとできないことが制度で決まっている。その枠組みを理解せず、飲食店のようなサービスを求めてしまうと、齟齬が起きます」
現場での人材不足に悩む事業所と、大切な人を預け、将来の不安と向き合っている家族。
そこに必要なのは、お互いへの敬意と、対話をあきらめない姿勢だ。
(AERA編集部・大崎百紀)