介護、医療現場で起きたクレーム対応の支援や研修事業などを手掛ける「ウィ・キャン」(東京都)代表取締役の濱川博招さんも、こう話す。

「カスハラとされないためには、客観的な事実と要望を分けて伝えるべきです。そして、現場の介護スタッフに言いがちですが、依頼ごとは事業所の管理者に伝えたほうが有効です。電話連絡は、通常の営業時間内にしてください」
 

多少のことには目をつむる

 介護福祉の問題を専門とする弁護士法人「おかげさま」(東京都)の代表弁護士の外岡潤さんは、「多少のことは目をつむる勇気をもってほしい」と話す。

 たとえば、デイサービスから戻ってきたときにリハビリパンツが交換されずに汚れていたままだったとして、イラっとしてもすぐには言わないこと。それが何度も続くようならば、事業所に要望を伝えるようにするといいという。

「そうやって相手の立場で話をし、互いが歩み寄ろうと会話のキャッチボールができているうちは、たとえ難しい要望であったとしても、カスハラにはならないと思います」
 

契約書の内容は事前に確認

 前出の濱川さんは、サービスの開始時に交わした契約書や重要事項説明書には、しっかりと目を通しておくべきだと指摘する。

「どこまでサービスをしてもらえるのか、事前に認識しておきましょう。カスハラが注目されるようになってから、事業所は契約書にサービス内容を細かく明記するようになっています。お願いできる内容などを最初に確かめておかないと、後からトラブルになります」

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