1989年のドラフトで史上最多8球団が1位で競合し、近鉄に入団した野茂英雄

「何球団が競合しても指名する価値がある」

 過去のドラフトで1位の最多指名は1989年の野茂英雄、翌90年の小池秀郎で8球団。野茂は近鉄に入団し、小池はロッテが当たりくじを引き当てたが入団を拒否して社会人・松下電器へ。2年後のドラフトで単独1位指名を受けた近鉄に入団している。

 「野茂フィーバー」でわいた89年を振り返ると、野茂に指名が集中したものの、決して不作ではなく、むしろ大豊作の年だった。野茂を1位指名して縁がなかった球団の「外れ1位」を見ると、佐々木主浩(大洋)、小宮山悟(ロッテ)、葛西稔(阪神)、西村龍次(ヤクルト)ら豪華な顔ぶれが。2位以下でも古田敦也(ヤクルト2位)、前田智徳(広島4位)、現日本ハム監督の新庄剛志(阪神5位)と、球界を代表するスターになった選手たちがいた。

 セ・リーグ球団のスカウトは、「6球団以上が1位指名で競合すると、抽選で当たる可能性はかなり低い。それなら他の好素材の選手を指名したほうがいいと考えても不思議ではないですが、立石は何球団が競合しても指名する価値がある選手です」と語る。8球団以上という史上最多の1位指名が集中する可能性もありそうだ。

 今秋のドラフトで立石に何球団が1位指名で競合するか。あるいは1本釣りを狙う動きがあるのか。各球団の眼力と戦略に注目したい。

(今川秀悟)

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