創価大の立石正広(日刊スポーツ)
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 全日本大学野球選手権の初日の6月9日、東京ドームであった創価大-東亜大の試合に、各球団のスカウト陣が殺到した。今秋の「ドラフトの目玉」と注目される創価大の立石正広がお目当てだった。

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 創価大は、0-0で迎えた延長10回のタイブレークで大量11失点を喫して初戦で敗退。立石は4回に内野安打を放ったが、五回2死二、三塁の好機では空振り三振に倒れるなど4打数1安打2三振だった。だが、バックネット裏で視察したセ・リーグ球団の編成担当はこう語る。

「良い結果が出なかったですけど、バットが振れていますし、1試合で評価は変わらないですよ。コンタクト能力が高く、長打力もある。アマチュア球界では抜きんでた存在で、プロでも1年目から即戦力で活躍できる。この秋のドラフトは1位指名で争奪戦になることは間違いない」

 立石は高川学園(山口県)で3年夏に甲子園出場。バックスクリーンへ本塁打を放ったが、この時点では全国に名を轟かすスラッガーではなかった。創価大に進学して1年春からレギュラーをつかみ、評価を一気に高めたのは2年春だった。打率5割、リーグ戦タイ記録の5本塁打、14打点で東京新大学リーグの三冠王に輝いた。3年の昨年秋には関東地区大学選手権で創価大の優勝に貢献して最優秀選手賞を獲得。11月の明治神宮大会では4試合出場で大会新記録の10安打を放ち、2本塁打、6打点で準優勝に貢献した。

 高校時代から立石を見てきたパ・リーグのスカウトは、「成長曲線が凄い」とうなる。

「パンチ力はあったけど、高校の時は上半身始動の打撃で、木製バットでは飛距離が出ない打ち方をしていた。大学に入り、鍛えた下半身のエネルギーを上半身に伝える打ち方になってから、打球の伸びが明らかに変わりました。逆方向に長打を飛ばし、変化球への対応力も高い。牧秀悟(DeNA)、森下翔太(阪神)に匹敵する逸材です。右の強打者はどの球団も欲しいでしょう。近年のプロ野球界は投高打低が顕著になっているので、立石の価値がさらに高まっています」

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