
ポスターをはがすにはがせない“事情”
しかし、今回のように選挙で党の公認を受けていないにもかかわらず、党の政治活動用ポスターを貼り続けているとなると、話が変わってくる。いくら告示日までに撤去したとしても、選挙期間直前まで各所に貼られていれば、党の公認候補だと勘違いして投票してしまう有権者が出てくる恐れもあるからだ。
今回の事態を、選挙制度に詳しい専門家はどう見るのか。
日本大学法学部政治経済学科専任講師の安野修右さんは、「政治家としてのモラルを疑う声が出るのは当然だが、法的にアウトとは言い切れない」と話す。
「公職選挙法第235条には虚偽事項の公表罪が明記されていますが、党の公認は受けられなくても党員ではあるので、虚偽には当たらないというロジックも成立します」
両議員の2連ポスターは違法とは言えないが、自民党から公認を受けていないことに気づいた有権者に対してはマイナスイメージを与えかねない。それでも、はがすにはがせない“事情”もあるようだ。
東京都選挙管理委員会のWebサイトには、個人の政治活動用ポスターについて〈任期満了日の6か月前から選挙期日までの間は掲示することができません〉とある。つまり、都議の任期満了日6カ月前にあたる1月22日以降は、非公認になったからといって個人のポスターを貼ることは許されないのだ。一方で、党の政治活動用ポスターであれば告示日まで貼り続けられる。
「党のポスターをはがしたら、選挙期間前に名前を売る方法が大幅に制限されてしまう。多少白い目で見られようが、とりあえず今のポスターを残しておくのが合理的な戦略だと判断したのでしょう」(安野さん)