
“ミスタープロ野球”こと長嶋茂雄さんの死去は日本中を驚きと悲しみに包み込んだ。しかしそれはイチ時代の終わりであると同時に、新時代の始まりでもある。特に長嶋氏と関わりの深い巨人界隈では動きがありそうな気配で、立場によって思うところも多岐に渡るようだ。
巨人の終身名誉監督・長嶋茂雄さんが6月3日に死去したニュースは日本中に衝撃を与えた。弟子と言える存在の松井秀喜氏(元巨人、ヤンキースほか)は、4日早朝にニューヨークから緊急帰国して弔問に訪れた。
「2人きりでいろんな思い出を呼び起こしながらずっと過ごしてました」(松井氏)と語るように、約2時間15分にわたって最後の会話を交わした。
「長嶋さんと松井氏の絆の深さは想像以上のものがある。ヤンキースGM付特別アドバイザーで何かと忙しい松井氏だけに、スケジュールを全てキャンセルして飛行機に飛び乗ったようだ。最後に直接会うことができて、ご家族や関係者は本当に喜んでいた」(巨人関係者)
1992年ドラフト1位で4球団競合の末にクジを引き当てたのが、翌93年から巨人監督就任が決まっていた長嶋さん。“ゴジラ”と呼ばれた超高校級スラッガーに可能性を感じ、“1000日計画”と名付けて鍛え上げた。監督退任、松井氏がFA権を行使してメジャー挑戦してからも師弟関係は変わらなかった。
「(松井氏が)早々と弔問に訪れたのは両者の関係を考えれば当然だろう。それよりも報道陣向けのコメントが意味深で、将来の巨人監督就任を匂わせるものだった。ビッグマウスを嫌う松井氏らしからぬ発言に驚かされた」(在京テレビ局スポーツ担当者)
「どういう形でまた次の世代に継承していくかは、はっきりした形は見えませんが、長嶋さんと生前に約束したこともあります」(松井氏)と明言。発言当日はテレビ各局が大々的に取り上げ、巨人監督就任について議論された。
「ゴジ(松井氏)に監督就任を要望していたのは周知。本来なら在命中に叶えば良かったが……。『長嶋さんの健康状態が厳しい』という情報は関係者なら知っていたことで、ゴジも色々と考えた部分があるのかもしれない」(巨人OB)