ヤンキース移籍時には、「裏切り者と言われるかもしれないが……」(松井氏)との発言もあったほど。しかし松井氏の野球への真摯な姿勢は変わらず評価されており、知名度も抜群。現役引退直後から巨人監督就任を求める声は球団内部を含め至るところで聞かれた。

「巨人は昨季もリーグ優勝するなど結果も出始めているが、かつてのような絶対的な強さがなく人気も下がっている。常に常勝球団でプレーしてきた人気抜群の松井氏なら、強くて人気がある巨人を作れるはず」(巨人関係者)

「巨人は今後のターゲットをインバウンド客に絞っている。東京ジャイアンツブランドを作り上げ、集客やグッズ収入で収益を上げたい。世界的知名度を誇るヤンキースの元中心選手が監督になれば、国内外へのインパクトは絶大」(スポーツマーケティング会社関係者)

 的確な野球理論を持ち、謙虚で誠実な人格者は指導者に適任。2009年ワールドシリーズではヤンキースを世界一に導いてMVPを獲得するなど、世間的な説得力にも長けている。

「東京ドームの親会社・三井不動産も大賛成だろう。注目度が格段に高まり、利用者のみでなく広告出稿も激増するはず。権利関係等をクリアできれば、CGを駆使して『長嶋さん、松井氏、大谷翔平ドジャース)』の三者を起用したセコム社CMがお目見えするかもしれない」(スポーツマーケティング会社関係者)

 今春のMLB東京シリーズに合わせた同社CMでは、現役時代の長嶋氏と大谷の対戦も実現した。ここに松井氏も加わった三者共演の夢も膨らむ。長嶋さんが亡くなったことで、松井氏の巨人監督就任への歯車が動き始める可能性はあるかもしれない。

 長嶋さんは1958年にプロ野球人生を始め、74年に現役引退するまで17年間プレー。その後は2度の巨人監督に加え、日本代表の指揮も執った。野球解説者、文化人としてグラウンド外でも多岐の活躍を見せてくれたのも記憶に新しい。そして2013年には松井氏と共に国民栄誉賞も受賞した。

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