2009年7月、落合監督が「本塁打判定の助けになる」と両翼ポールを伸ばすことを提案。球場側も賛同、18mだった両翼ポールが8月中旬には23m継ぎ足され、球界最長の41mとなった。
「シーズン中の早急な対応、工事完了に誰もが驚いた。『勝利至上主義』と言われた当時の落合中日だったが、正々堂々戦おうとする姿勢に賞賛の声も贈られた。野球に対する美学や矜持も感じられ、落合監督の株を上げる一件でもあった」(スポーツ新聞野球担当デスク)
「球場設備などは臨機応変に変えられるはず。甲子園でも昨年から外野ポールの奥のスタンドに固定カメラを設置、リプレー映像でも活用できるようにした。主催球団と球場に『その気』があれば対応はできる。全てを審判団の責任にするのも少し違う気はする」(中日OB)
昨年9月30日のDeNA・宮崎敏郎の左翼ポール際の打球がファール判定され、リプレー検証でも覆らなかったが直後に本塁打を打ち直したことが話題となった。この時の判定には新設されたカメラが活用されており、一連のドラマを生み出す要因にもなった。
「リプレー検証のために、まずは甲子園のように外野席に2台設置するだけでも大きく変わるはず。場内安全化のため、各球場ではスタンド、コンコースを問わずカメラの数は増えている。カメラを数台増やすことは、時間や予算的にも不可能ではないと思う」(スポーツ新聞野球担当デスク)
AIを含め技術革新が進む現代において、活用できるテクノロジーは取り入れるべきという意見は多い。他競技は積極的であり、サッカーの場合では世界大会レベルで約40台、Jリーグで約10台のカメラを設置してジャッジに活用しているという。
「誤審による結果で翌年の契約ができない選手が出る可能性がある。過去には誤審扱いされたことが理由で職を辞したとされる審判もいた。『誤審も野球の醍醐味』という考えは既に時代遅れなのだろう」(中日OB)
受理されなかったものの、今回の件で中日はNPBへ抗議書も提出した。そこには「ホークアイ」の画像が添付されていたとされる。「ホークアイ」とは球場に設置された複数カメラを使用してボールの位置や軌道を分析、再現できるもの。こういったテクノロジーを積極的に導入、活用すべき時期なのかもしれない。
「勝った? 負けた?」は大事である、しかしそれ以前に、正々堂々の真っ向勝負があるからこそ「プロ野球は最高のエンターテインメント」になるはず。NPBはもちろん、各球団、各球場が真剣に取り組んでもらいたい部分である。
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