5月27日の“誤審”騒動、球団と球場はAI導入など積極的に対策すべき時期が来た(写真提供・日刊スポーツ)
5月27日の“誤審”騒動、球団と球場はAI導入など積極的に対策すべき時期が来た(写真提供・日刊スポーツ)
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「ホームラン? ファール?」

【写真】この投手が出てくるとバンテリンドームが盛り上がる

 球史に残りそうな大誤審騒動が再び起きてしまい、審判技量や球場施設の問題が取り沙汰されている。しかし最も大事なことは、ここからどのような対策をするか。NPBと共に各球団や球場側の本気度も試されている。

「近年ではあり得ないほどの怒号が場内に飛び交った。球場内ビジョンのリプレー映像からでも本塁打に見えた。ヤクルトファンからも『これはおかしい』という声が上がっていた』(神宮球場関係者)

 5月27日、ヤクルトと中日の対戦(神宮)の8回表だった。1点リードされた中日は、1死一塁から川越誠司が右翼ポール際へ素晴らしい打球を放ったがファールの判定。リプレー検証でも判定は覆らず、最終的にはヤクルトが勝利して試合終了した。

「俺もいろんな角度から見てみたけど、いや、これは入っているよなって……」と解説者・高木豊氏もYouTubeチャンネルで述べるなど、「誤審」だった可能性は高い。

 高木氏は「確信が持てないとジャッジを変えられない」と判定が覆らなかったことにも言及。現在の4人制審判や球場施設の限界まで露呈したようなプレーだったことも示唆している。

「審判が全力を尽くしていることは誰もが理解している。しかし審判の人員不足もあり、早急に6人制にするのも難しい。球場設備を可能な限り整えることが現実的だと思う」(神宮球場関係者)

 5月30日の試合前には中日・朝田憲祐球団本部長が、「今後起きないように、リプレー検証の見直し、よりよい方向へ考えていくということなので、球団としても今回はここで……」と選手に説明して騒動の沈静化を図った。納得はできないだろうが、潔さすら感じさせる対応には理由もある。

「バンテリンドーム(当時ナゴヤドーム)の両翼ポールを改修した経験がある。同様のトラブルを避けるために落合博満監督(当時)の鶴の一声からだったが、中日球団が球場側へ速やかに掛け合って実現した。『他球団、球場も今後はしっかりやって欲しい』という思いもあるだろう」(中日OB)

次のページ 中日の抗議書には「ホークアイ」の画像が添付されていたとも