
戦力外通告から7カ月──。高校時代には3季連続で甲子園に出場し、「静岡のイチロー」の異名も取った男は今、故郷に誕生した球団で“再起”を懸けて日々汗を流している。
【写真】慶大不合格からセを代表するエースになったプロ野球選手がこちら
「今はNPBに戻れるように1日1日を過ごすしかないです。僕の立場だと(セ・パ12球団からオファーがあるのは)誰かが抜けた時とか怪我した時の補充要員としてだと思うので、常に良い状態をキープしておかないといけないという心持ちはすごいあります」
そう話すのは、昨年まで埼玉西武ライオンズで外野手としてプレーしていた鈴木将平(27歳)である。一度はレギュラーの座も掴みかけながら、8年目のシーズンを終えて戦力外となり、NPBファーム(二軍)のウエスタン・リーグ参入2年目を迎えたくふうハヤテベンチャーズ静岡に入団。ここまで全48試合中43試合に出場し、リーグ3位の打率.306という好成績を残している。
「初めてのリーグで(西武時代の二軍はイースタン・リーグ)だいぶ慣れてきたのが大きいかなと思います。最初は(いい当たりが野手の正面を突くなど)ちょっと不運なトコもあったんで、やっと返ってきたなぐらいの感じもあります(笑)」
静岡県富士市出身で、静岡高では1年夏から3季連続して甲子園に出場。左投げ左打ち、走攻守の3拍子揃った外野手として、侍ジャパンU-18代表にも選ばれた。高校からドラフト4位で西武に入団すると、3年目の2019年に一軍初出場。2022年には「一番センター」で初めて開幕スタメンに名を連ね、チームにとって2年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出にも貢献した。
翌2023年は自己最多の72試合に出場してチーム2位の10盗塁、同3位タイの8犠打を記録。だがレギュラーの座が見えてきた矢先、2024年は1月に左肘関節鏡視下クリーニング術を受けて出遅れると一軍出場は33試合にとどまり、不完全燃焼のまま戦力外となった。
「ライオンズ時代は……難しいっスね。なんだろう、すごいいい思いも悪い思いもしたなって感じですかね。振り返ったらもっとできたなと思うことってたくさんありますし、あの時に掴んでおけばっていう思いもありますし、そういう後悔は募りますね」