鈴木が初めて一軍に上がった2019年、西武は辻発彦監督の下で2年連続のパ・リーグ優勝を達成。その後も3年間でCS出場2回の「強い」チームにあって、鈴木自身は「“名脇役”を目指していたところがあった」という。
「その分、どこかで受け身になってたんじゃないですかね。たとえばツーボールだったらあんまり打ちにいかなかったですし、とにかく繋ごう繋ごうと思ってて。それが仕事というか、自分の役割だと思ってました」
ところがくふうハヤテでは、野手としてNPBで実績を残した選手は元DeNAの倉本寿彦ぐらい。大半がアマチュア球界や独立リーグから来た若手というチームで、西武で通算252試合に出場して163安打を放った鈴木は立派な“主役”である。自ずと打席でのアプローチも変わった。
「今まではとにかく繋ぎたいって思ってたのが、今はランナーがいたら僕がかえすっていう気持ちでやってます。積極的に打ちにいけてるから結果も出てると思うんで、それはかなりいいと思います。ランナー二塁の時とかはめちゃくちゃ引っ張りにいってますけど、今までは『セカンドゴロ(進塁打)でもいいや』って思ってたところが、ライト前にしたりライトオーバーにいったり、その辺はだいぶ違いますね」
1月の入団発表では、新天地に故郷の球団を選んだ理由を「プロで揉まれて少し丸くなってしまったところもあると思うので、もう一度鋭さを出して昔ながらの輝きを取り戻す“原点回帰”としては一番いいなと思いました」と話していたが、現在は打席での“原点回帰”も功を奏している。
「シンプルになったかもしれないですね。今まではNPBで生きてきて、データも駆使しますし、配球も考えてっていうのはすごいあったんですけど、今ってデータがちょっと少ないんで。だったら追い込まれる前からしっかり手を出して、強く振れる球を待つっていう、その辺は今までにない感覚というか昔に戻れてる、高校時代に戻れてる感じはあります」