楽天の“レジェンド”田中将大は昨年オフに巨人に移籍した。右は巨人・阿部慎之助監督

先発再転向が現実的?

シーズン途中に救援から先発へ配置転換は心身共に負荷がかかるが、今の則本は救援で必要不可欠な存在になっていない。パ・リーグ他球団のスコアラーも「則本の気持ちを尊重しなければいけませんが、適正は先発だと思います」と指摘した上で続けた。

「元々立ち上がりが良い投手ではなく、球数を投げてイニングを重ねることで尻上がりに良くなっていくタイプです。楽天は先発陣のコマがそろっているとは言えません。長いイニングを投げるために調整期間が必要になりますが、先発再転向は現実的に考えられるんじゃないでしょうか」

今季は7年契約の最終年だが…

 則本は今季限りで7年契約が切れる。今季の成績次第では年俸3億円からのダウンが必至な状況で去就が気になるところだ。楽天への愛着が強く、19年に国内FA権を取得したときは権利を行使して残留。23年に海外FA権を取得した際も、「契約が残っているので」と動かなかった。来季以降も残留が基本線になるが、確実ではないだろう。チームのレジェンドで日米通算200勝の大記録達成に残り3勝に迫っていた田中将大は昨オフに大幅減俸を提示され、球団フロントとの交渉が決裂して退団、巨人に移籍した。

「昨年1軍で未勝利に終わった田中と違い、則本は先発でまだまだ通用すると評価する球団は多いでしょう。楽天はメジャー球団のように個々の選手の野球人生を尊重し、移籍に向けて背中を押すことが珍しくない。19年にロッテから金銭トレードで獲得した涌井秀章を、22年オフに中日から阿部寿樹をトレードで獲得する際に放出しています。打線強化という観点での補強でしたが、中日に移籍したほうが涌井の登板機会が増えるという楽天サイドの思慮もありました。チームが若返りを図る中、則本に関してどのように評価しているかが注目されます」(前出のスポーツ紙デスク)

 則本は楽天一筋でプレーしてきただけに、ファンの思いも強い投手だ。復活を期待する声が多い中、中継ぎで好投を続けて抑えに返り咲くか、先発に再転向するか。それとも移籍で環境を変える道はあるのか。自らの存在価値を証明するためにも、このままでは終われない。

(今川秀悟)

こちらの記事もおすすめ 巨人・坂本勇人はなぜ急激に輝きを失ったのか 他球団スタッフが感じた「明らかな異変」とは
[AERA最新号はこちら]