
日本の大学よりはるかに過酷
大学進学後も、海外大学が向いているタイプとそうでないタイプで明暗が分かれるという。人間関係を含む精神的プレッシャーは日本の大学よりはるかに過酷だからだ。周囲の誰もが日本のことをよく知らない海外の大学では、自己紹介で国内の出身校を挙げてもほとんど意味がない。そこで求められるのは「あなたは何者ですか」と問われた時に、自分で自分をプレゼンする言語力もさることながら、重要なのはその中身だと渋川さんは強調する。
「私という人間が何に属しているかではなく、何に興味があって、これまで何を成し遂げ、この先、周囲にどんなユニークな影響を与えられる存在であるかをアピールし、周囲に『この人と一緒にいれば、互いに学び合えるところがありそう』と感じてもらうことが大事です。それができないと学生生活を楽しめないし、活躍もできません」
母語が使えない環境では、物怖じしない行動力とコミュニケーション能力が一層求められる。こうした点も踏まえ、東進の海外大学留学支援制度の対象者を選考する面接で渋川さんはまず、「本気度とパッション」を確認するという。
安全な場所から飛び出せる?
自分が海外大学向きかどうかを自己分析することも可能だ。具体的にこんなシーンを思い浮かべるのがよいという。
例えば、翌日に試験があり、十分な準備ができていなかったとする。その状況で突然、関心のある分野で活躍している卒業生を招いた講演会がその夜に開かれるのを知った時に、講演会場に出向く行動を選択できるか。さらに帰宅後、明け方まで勉強し、試験で立派な成績を残す努力を完遂できるか。渋川さんは言う。
「自分はコンフォートゾーン(快適な領域)を飛び越える選択ができるタイプかどうかを見極めるのが大切です。安全で快適な場所や人の輪の外に飛び出していかないと、本当の学びは得られません。不安だけど飛び込んでみる。そういう選択ができる行動力のある人は海外の大学に向いており、また海外はそういうチャンスにあふれています」
東大法学部を卒業後、外資系コンサル勤務を経て、04~06年に米国デューク大大学院のビジネススクールを修了した渋川さんは自身の留学体験を踏まえ、こう唱える。