
「石井コーチは能力を引き上げる“技術屋”」
昨年と指導体制が変化したことが影響している可能性がある。今年は打撃コーチという肩書が無くなり、村田修一コーチ、石井琢朗コーチ、鈴木尚典コーチ、柳田殖生コーチ、田代富雄コーチ、大村巌コーチ、辻俊哉コーチの7人が「野手コーチ」として登録されている。
「野手コーチは1、2軍の垣根をなくして技術系の指導を行っていますが、村田コーチは1軍がメインで、昨年まで1軍に帯同していた石井コーチが2軍に回っています。この体制が機能しているかというと正直、疑問です。技術指導で引き出しが多い石井コーチが1軍で回り、村田コーチは育成に主眼を置くファームに据えたほうが良いかなと感じますね」(スポーツ紙記者)
村田コーチが2011年以来14年ぶりに古巣復帰したことは、大きな話題となった。現役時代は横浜(現DeNA)で2度の本塁打王に輝くなど不動の4番として活躍したが、チームは当時低迷期だったため優勝できる環境でのプレーを望み、巨人にFA移籍。引退後は巨人、ロッテで打撃コーチを歴任した。指導能力を評価され、今年からDeNAのコーチに就任した。
村田コーチと石井コーチは共に、巨人で指導歴がある。当時の選手はこう振り返る。
「村田さんは打撃に関してきっちり理論を持っていますけど、指導の熱量が凄いことのほうが印象に残っていますね。選手にハッパをかけてモチベーションを上げるのがうまい。石井さんは技術屋という言葉がぴったりはまります。個々の選手の特徴を生かして能力を引き上げてくれる。バッティングの修正点も的確に伝えてくれるので、選手たちに信頼されていました」
石井コーチは広島で鈴木誠也(現カブス)、丸佳浩(現巨人)の育成に携わり、ヤクルトでは村上宗隆の指導に当たった。巨人では打撃不振だった中島宏之と打撃フォーム改造に取り組み、復活を支えた姿が印象的だった。22年からDeNAのコーチに復帰。ヤクルトの関係者はこう語る。
「打撃だけでなく、走塁、守備で(石井)琢朗さんの求めるレベルは高い。その要求にすぐに応えられるほど甘くないですし、結果が出ない時期は遠回りしているように感じてしまいますが、ブレずにやり続けた選手はきっちり結果を出しています。伸び盛りの若手が多い選手が多いDeNAには適任のコーチじゃないですかね」
DeNAが優勝争いに加わるためには得点力を上げることが不可欠だ。果たしてどのような形で現状を打開するかが注目される。
(今川秀悟)
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