
広島が好条件を提示できるかは疑問
日本球界復帰となれば、移籍先の最有力候補と目されるのが古巣の広島だ。前田は06年のドラフト1位で広島に入団すると、最多勝を2度獲得するなどエースとして活躍。前田自身も広島への愛着は強く、メジャー挑戦後も広島の戦いぶりを気にしていた。
メジャーから広島復帰といえば、思い出されるのが先輩の黒田博樹(現広島球団アドバイザー)だ。ドジャース、ヤンキースでプレーした後、広島に復帰している。ただ、両右腕の状況はかなり異なる。黒田は先発の柱として5年連続で2ケタ勝利を続けていた14年オフにヤンキースとの契約が切れ、メジャー複数球団からオファーが殺到して年俸20億円以上の好条件を提示した球団もあった中で、広島と年俸4億円で契約して復帰した。一方で前田の置かれた状況は厳しい。
「マエケンは広島の功労者ですが、広島が黒田さんの時のような条件を提示するかというと疑問です。広島の先発陣は大瀬良大地、森下暢仁、床田寛樹、森翔平、玉村昇悟に加えてアドゥワ誠、常廣羽也斗も控えている。マエケンを慕っている大瀬良、森下や、親交が深い同学年の秋山翔吾、会澤翼がいますが、現状では先発の4番手以降という評価になるでしょう。他球団も獲得に乗り出して、マネーゲームになると獲得が厳しくなります」(広島の民放テレビ関係者)
広島以外に獲得を検討する球団はどこになるか。スポーツ紙デスクはヤクルトを挙げる。
「先発陣のコマ不足が何年も解消されていません。23年オフに山崎福也(日本ハム)、昨年オフに石川柊太(ロッテ)がFA権を行使した際は獲得に乗り出していますし、先発で実績十分の前田に白羽の矢を立てる可能性は十分に考えられます。先発の登板機会を考えるとヤクルトが最もチャンスがあるのでは」
巨人が動く可能性を指摘する声もある。巨人は昨オフ、楽天を自由契約になった田中将大の獲得に動き、大きな反響を呼んだ。
「救援陣は12球団トップクラスの陣容ですが、菅野智之(オリオールズ)が抜けた先発陣は盤石と言えない。リリーバーの石川達也を春先は先発で起用していましたしね。今年は不調でファーム降格を経験しましたが、戸郷翔征が近い将来メジャー挑戦することも考えられます。マエケンの投球をチェックして、日本でまだまだ通用すると判断した場合は、獲得に動く可能性がゼロとは言えません」(前出のスポーツ紙デスク)