
今夏の参院選東京選挙区に国民民主党から立候補する元NHKアナウンサーの牛田茉友氏(39)。玉木雄一郎代表もときどき出演していたNHKの番組「日曜討論」のキャスターを務めていたが、急転直下、立候補を決めた。NHKの舞台裏を取材するとともに、先輩で、元「日曜討論」の司会も担当していたジャーナリストの城本勝氏に話を聞いた。
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元NHK政治部記者で解説委員も務めた城本勝氏はこう語る。
「牛田さんは、出馬するだけで話題になる。他党にこれといった候補者が見当たらないなら、牛田さんは台風の目になるのではないでしょうか。国民民主は強気ですね。立憲とぶつかるというよりも、立憲のお客さんではないところがとれると考えているんじゃないですか。ただ、国民民主は会社員の奥村祥大さん(31)と2人の候補を擁立しましたから、2人の票が割れる可能性もあるので、その調整をどうするかがカギですね」
城本氏はかつて、NHKの「日曜討論」にも出演していた。
「私は『日曜討論』で司会をしていました。政治家に質問するのって、難しいんですよ。気難しい政治家もいるからね。牛田さんは華があるし、清楚なイメージで、うまくこなしていたと思います。NHKには全国の地方局にアナウンサーがいて、アナウンス技術を磨かれます。民放と比べても、NHKのアナの能力は高いと言われています。その中から選ばれた一握りの人だけが中央で活躍できるわけですし、『日曜討論』を担当するアナウンサーに抜擢されていたというのは、わかりやすく伝えられるというスキルを見込まれてのことですよ」
今夏の参院選・東京選挙区の改選数は6議席だが、2022年に4度目の当選を果たした立憲民主党の蓮舫氏が昨年の東京都知事選に立候補したため、自動失職。その補充が1議席加わり、実質7議席となる。そのため、得票数が6位なら任期は6年、7位なら任期は3年となることから「6.5議席」とも報じられている。石丸伸二氏は立ち上げた地域政党「再生の道」で、東京選挙区に1人擁立することを明らかにしている。
「東京選挙区は波乱含みの大激戦となりそう。立憲、公明、自民、共産は1議席はとれると思う。れいわ新選組も当選ボーダーラインくらいを出す力がある。今、伸びているし、前回の衆院選では共産党よりも票をとったんだから。石丸新党はだんだん飽きられてきているようですが、候補者次第でしょう」(城本氏)
「その場で退職願を書きました」
牛田氏は大阪府池田市生まれで、東京都在住。大阪大学医学部保健学科(検査技術科学専攻)を4年間で卒業し、臨床検査技師の資格を取得した。4月23日の公認決定記者会見では「4月13日にお話をいただきました。職場には翌日の朝に返事をしました。その場で退職願を書きました。18日朝、退職しました」。長らく報道の現場にいたため迷いもあったらしい。ちなみに牛田氏は、4月13日の「日曜討論」でもキャスターを務めていた。
「大変迷いました。なぜ、翌日に決断をしたかというと直近で大きな仕事を抱えていました。迷いのある状態で仕事をしてはならないと思ったんですね。こういう迷いがあるなら決断したほうがいいと思って、決断しました。職場にも迷惑をかけたくなかったので」などと語った。
なぜ、国民民主党なのかについては「国民民主党は『対決より解決』という言葉を掲げてやっているということはもちろん知っていました。そして、右でも左でもない。今、とれる最善の解決案をいつも提案し、模索しているということも知っていましたし、そこに共感もしていました」とした。