中日・柳裕也(日刊スポーツ)
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 中日ファンの誰もが早期復帰を願っているだろう。今季マウンドで抜群の安定感を誇っていた柳裕也が、4月24日に故障で登録抹消された。

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 今季はここまで4試合に先発登板して自責点2の防御率0.72。1勝1敗と白星に恵まれていないが、先発の核として稼働していた。23日の巨人戦で、5回まで2安打無失点。相手先発の山崎伊織もスコアボードにゼロを並べ、このまま投手戦が続くと思われたが、柳に異変が起きた。5回2死から泉口友汰に初球を投じた直後、右肩を気にする素振りを見せた。トレーナーと山井大介投手コーチがマウンドへ駆けつけたが、柳は続投を志願。泉口を中飛に打ち取って三塁ベンチに戻り、このイニングで降板、翌日に登録抹消となった。状態が気になるところだが、報道によると井上一樹監督は大きな故障ではないことを強調しており、最短の中10日で復帰できる見込みだという。

 柳に関して気になるのが、今オフの去就だ。1軍に復帰して順調にいけば、今季中に国内FA権を取得する。昨オフの契約更改で球団から提示された複数年契約を断っているだけに、今オフのFA権行使が現実味を帯びているのだ。

 チームは3年連続最下位に沈むなど低迷期が長らく続いているが、柳の先発としての能力は高い。直球は140キロ台前半と決して速くないが、カットボール、カーブ、チェンジアップ、スライダー、カーブ、フォークと多彩な変化球を駆使し、制球力も良いため三振奪取能力が高い。2021年は26試合登板で11勝6敗、防御率2.20で、最優秀防御率、最多奪三振(168)のタイトルを獲得。投球回数172イニングもリーグトップだった。

 他球団のスコアラーは、「打者を見て投げる洞察力に長けた投手です。クイックで投げたり、球持ちを長くして打者のリズムを狂わせたり。直球も球速は出ていないですが回転数が多く、浮き上がる軌道なので捉えるのが難しい。スタミナ十分でけん制、フィールディング能力も高い。すべてが高水準の投手です」と評する。

 ただ、チームが低迷していることもあり、柳が日の目を見る機会は少ない。23年はリーグ6位の防御率2.44をマークしたものの、打線の援護に恵まれず、4勝11敗と大きく負け越した。他球団だったら勝敗の数字が逆でも不思議ではない投球内容だった。この年の8月13日の広島戦では9回を無安打無得点に抑えたものの、味方打線が得点を奪えず、延長では降板したため大記録達成を逃した。

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