
連日熱戦が続いているプロ野球のペナントレース。今年も多くの新星が活躍しているが、注目度が高いのはやはり新人王争いではないだろうか。開幕から1カ月が経過した現時点での有力候補と、ここからの浮上が期待できそうな選手について探ってみたいと思う(成績は4月26日終了時点)。
【写真】育成出身で活躍できず、移籍後の球団で日本一に貢献したのはこの投手
まずセ・リーグでトップを走っていると見られるのが阪神のドラフト1位ルーキー、伊原陵人(NTT西日本)だ。オープン戦で結果を残して開幕一軍入りを果たすと、まずは中継ぎとして6試合連続無失点を記録。さらにプロ初先発となった4月20日の広島戦では5回無失点の好投で初勝利もマークしている。大阪商業大時代から制球力の高さと変化球には定評があったが、社会人でストレートも見違えるように力強くなった印象を受ける。これまでも数々の全国大会で登板してきた経験も強みだ。このまま先発として結果を残し続ければ、セ・リーグ新人王候補の筆頭となる可能性も高い。
セ・リーグのルーキーでもう1人大きな戦力となっているのが、伊原と同じ社会人出身の荘司宏太(セガサミー→ヤクルト3位)だ。ここまで中継ぎとして8試合、9回を投げて無失点と好投。さらに驚くべきはイニング数の倍近い15個の三振を奪っているという点だ。最大の武器はブレーキ抜群のチェンジアップで、スピードと落差にバリエーションがあり、プロの打者も大きく体勢を崩されることが珍しくない。172センチと投手としては小柄だが、真上から腕を振り下ろすフォームで、ストレートの勢いも申し分ない。中継ぎ投手はなかなか目に見えやすい数字が残らないため新人王争いでは不利になることが多いものの、この勢いで三振を量産していけば十分可能性は出てくるだろう。
ここからの巻き返しが期待されるのが、昨年のドラフトで投手の目玉だった金丸夢斗(関西大→中日1位)だ。昨春に腰を痛めた影響からキャンプではかなり慎重な調整となり、開幕も二軍スタートとなったが、3月29日の二軍戦で実戦デビュー。4月26日の阪神との二軍戦では先発で6回を投げて被安打2、無失点の好投を見せて順調な回復ぶりをアピールしている。能力的には圧倒的なものがあるだけに、ここから一気に一軍で成績を残してくることも十分に期待できるだろう。
セ・リーグのルーキー以外の選手では、プロ初勝利をマークした門別啓人(阪神)、初ホームランを放った松尾汐恩(DeNA)なども今後の活躍次第では浮上してくることもありそうだ。