一方のパ・リーグでさすがの活躍を見せているのが、昨年のドラフトで5球団が競合する一番人気となった宗山塁(明治大楽天1位)だ。開幕からショートのレギュラーに定着すると、ここまで22安打、2本塁打、7打点、打率.259とルーキーとしては十分な成績を残している。守備についても失策は4と少なくはないが、守備範囲の広さと強肩はプロでも目立つレベルであり、貢献度は高い。

 ただそんな宗山以上に、現時点で強烈なインパクトを残しているのが渡部聖弥(大阪商業大→西武2位)だ。開幕から外野の定位置をつかむとヒットを量産。4月12日の日本ハム戦での走塁で足首を痛めて一度は登録抹消となったものの、25日のオリックス戦で一軍に復帰すると、そこから2試合連続でマルチヒットを放ち、規定打席には未到達ながら打率.440という驚異的な成績を残しているのだ。外野の守備でも見事な送球で補殺を記録するなど高い能力を見せている。このままの成績を維持するのはもちろん簡単ではないが、打線が弱い西武という環境も渡部にとっては追い風となりそうだ。

 パ・リーグではルーキー以外にも活躍を見せている選手が目立つ。投手ではともに育成ドラフト出身の前田純(ソフトバンク)と菅井信也(西武)が先発ローテーションとして活躍。また高卒3年目の田中晴也(ロッテ)も先発で150キロ台中盤のスピードをマークして圧巻の投球を見せている。野手では高卒2年目ながら寺地隆成(ロッテ)が1試合2本塁打の離れ業を見せ、現役ドラフトでソフトバンクから移籍した吉田賢吾(日本ハム)も持ち味の打撃でアピールしている。彼らも順調にいけば新人王争いに絡んでくる可能性は高いだろう。

 近年はプロのレベルが上がっており、ルーキーがいきなり活躍することは難しいと言われているが、こうして見てみると楽しみな存在は非常に多い。またルーキー以外にも有力候補は少なくないだけに、ハイレベルな新人王争いとなることも期待できそうだ。

(文・西尾典文)

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