クラブチームはお金がかかる
地域移行は、保護者の懐にとっても痛い話になる可能性がある。
これまで保護者にとって、「部活動はタダ」だった。
退職を機に「子ども食堂」の開設を考えているというミサキさん(仮名、60代、千葉県)は、部活動が学校から切り離されることで保護者の費用負担が増えることを心配する。
「私のいとこの息子は中学校から『今後、3年で部活動は地域に完全移行する』と伝えられ、バスケットボールのクラブチームに入りました。その費用を負担できない家庭環境の子どもは世の中にたくさんいます」(ミサキさん)
居場所を失う子どもたちも
同県の、あるクラブチームの練習参加費用は1回500円。週5回参加すれば、ひと月で約1万円になる。そのほか、ユニフォーム代、試合の交通費、スポーツ保険料などの負担も加わる。
「クラブチームに入れない子どもたちは部活動を経験することも、エネルギーを発散させることもできなくなる。居場所を失い、悪いことに手を染めてしまうこともあるかもしれないと、中学教員の夫から聞きました。夫は『学校から部活動をなくすのは問題だ』と言っています」(同)
(AERA編集部・米倉昭仁)