4月18日のソフトバンク戦で8回二死、嶺井から三振を奪い、雄叫びを上げる西武・今井(日刊スポーツ)
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 西武・今井達也が開幕から圧巻の投球を続けている。4試合登板で2勝1敗、防御率0.84。他球団のスコアラーはこう評する。

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「球の質が他の投手と明らかに違います。直球とスライダーに加え、今年から投げているツーシームも厄介です。直球だと思って振りにいくとバットの根元で詰まらされる。ピンチになると出力を上げて打者をねじ伏せるスタイルが、メジャーにいく前のダルビッシュ有(パドレス)と重なります。今のプロ野球界で最も攻略が難しい投手でしょう」

 試合を支配しているという言葉がしっくりくる。4月18日のソフトバンク戦は8回無安打1失点の快投。6回までノーヒットノーランを継続し、7回に四球で出した走者が盗塁や内野ゴロで生還して失点したが、ノーヒットは継続。味方が勝ち越した直後の8回にはリミットを外した。2死で代打・嶺井博希に155キロ直球で見逃し三振。雄叫びを上げ、力強く胸を叩いて感情を爆発させた。ちなみにこの試合、西武は今井と平良海馬の継投で、「無安打有失点」というプロ野球史上5度目の珍しい記録を作った。

ドラフトでは山本由伸より高評価

 今井はプライベートで親交がある山本由伸(ドジャース)と同学年だ。ともに高卒で入団した時は、今井のほうが注目度は高かった。作新学院で3年夏にエースとして全国制覇を達成し、2016年のドラフトで1位指名を受け西武へ。一方の山本は都城高で甲子園出場が叶わず、ドラフト4位でオリックスに入団した。

 だが、プロ入り後は山本が球界を代表するエースへ一気に駆け上がる。21年から23年まで3年連続で最多勝、最優秀防御率、最高勝率の「投手三冠」に輝き、リーグ3連覇に貢献。23年オフにポスティングシステムを利用してメジャーに挑戦し、ドジャースと12年総額3億2500万ドル(約465億円)という投手の史上最高額で超大型契約を結び、昨年からメジャーのマウンドに立っている。

 一方で今井は制球難が課題でなかなか結果を残せなかった。四球で自滅するパターンが多く、好不調の波が激しい。投球フォームがしっくりこないため、ダルビッシュや岸孝之(楽天)の投げ方を模倣した時期もあった。

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