
小笠原がDFAになれば他球団との契約は難しい?
メジャーでは複数年契約を結んだ選手がDFAになることは決して珍しくない。19年オフにDeNAからポスティングシステムを利用してメジャー挑戦した筒香嘉智はレイズと2年総額1200万ドル(約13億1000万円)で正式契約を結んだが、結果を残せず21年の5月にDFAになった。ドジャースへトレード移籍したが、その際、レイズが549万ドル(約6億390万円)、ドジャースが当時のメジャー最低年俸の43万ドル(4730万円)を支払うことで合意している。
「筒香の場合は日本で実績がある強打者だったので、ドジャースは再生できると判断して獲得に踏み切りました。でも、小笠原の場合はマイナーで高いパフォーマンスを見せないと、他球団がメジャー契約を結ぶ可能性は低いでしょう。DFAとなれば、日本球界復帰が現実的な選択肢となってきます」(スポーツ紙記者)
米国ではいばらの道が待ち受けているが、日本球界復帰となれば複数球団が獲得に興味を示す可能性がある。エース格とまではいかないが、イニングイーターとして試合を作る能力はNPBで証明している。古巣・中日のほか、先発陣が手薄なヤクルト、楽天、投打がかみ合わずに苦戦しているソフトバンクが争奪戦に参戦する可能性がある。
セ・リーグ球団のスコアラーは「被本塁打が多い投手なので、広い球場のほうが持ち味を発揮できる。もしソフトバンクが獲得に動くとなれば、マネーゲームで絶対的に有利でしょう。昨オフも上沢直之を獲得していますしね」と分析する。
米国でプレーした上沢や有原航平は、国内復帰の際の移籍劇が波紋を呼んだ。共に日本ハムでFA資格を取得する前にポスティングシステムで米国に渡り、有原はメジャーで2年、上沢は1年足らずで帰国し、ソフトバンクに入団したため、「有原式FA」、「上沢式FA」と批判された。小笠原が早期に帰国し、古巣の中日以外に移籍すると、同様の批判を受ける可能性が出てくる。
小笠原とチームメートだった中日OBは「ファンの感情は理解できますが、移籍は選手の自由ですし、現行のルールに違反しているわけではい。限られた野球人生を考えるとどのような決断をしても尊重されるべきです」と言いながら、こう続ける。
「小笠原がどうなるかは分かりませんが、マイナーで過ごす時間も今後の大きな糧になると思います。憧れのメジャーで活躍する強い意志を持っていたし、3年間は米国でプレーしてほしい。27歳とまだ若いですし、早い時期から国内復帰は考えてほしくないですね」
まずは故障を完治させてマイナーからはい上がり、首脳陣の信頼をつかむ投球を見せてほしい。
(今川秀悟)