
ナショナルズ・小笠原慎之介が、早くも試練を迎えている。
【写真】メジャーの契約途中でDFAとなり移籍、その後、日本球界に復帰したのはこの強打者
昨オフにポスティングシステムを利用し、ナショナルズとメジャー契約を結んだ。先発ローテーションの一角を狙ったが、突きつけられた現実は厳しかった。オープン戦5試合に先発登板で1勝3敗、防御率11.25と結果を残せず、マイナーに降格。ナショナルズ傘下の3Aでも3試合登板で1勝1敗、防御率4.80とアピールできなかった。4月17日には7日間の負傷者リストに入ることも発表された。現地報道によると、脇腹を痛めるアクシデントが発生したという。復帰には1カ月以上かかると見られ、フロリダ州でリハビリ組に合流して実戦復帰を目指す。
スポーツ紙デスクは「体が強い投手なので故障は痛手ですが、投球内容については想定外の結果とは言い切れません。直球が140キロ台前半で、同じ左腕の今永昇太(カブス)のようにホップ成分が多いわけではないので、空振りを奪えない。制球力も菅野智之(オリオールズ)のように抜群に良いわけではないので、チェンジアップを見極められると苦しくなります。中日時代は投手有利の広いバンテリンドームが本拠地でしたが、規定投球回数に到達したシーズンで防御率2点台以下は1度のみと、打者を圧倒してきたわけでもなかった。メジャーで活躍できるか懐疑的な見方が多かったです」と話す。
米国メディアの報道によると、小笠原はナショナルズと総額350万ドル(約5億4600万円)で2年契約を結んだ。今季は年俸150万ドル(約2億3400万円)、来季は200万ドル(約3億1200万円)の内訳となっている。昨季、中日での推定年俸が9300万円だったことを考えると、2倍以上にはね上がり、期待の大きさを物語っているように感じるが、米国で取材するスポーツ紙記者は違った見方を示す。
「昨年のMLBの最低年俸は 74万ドル(約1億1,000万円) です。小笠原が契約合意した年俸はその2倍より少し多いぐらいで、決して高い額ではない。ナショナルズからすると、先発ローテーションに入ってもらわなければ困る投手でなく、競争の中で勝ち抜いてほしいという期待枠の投手です。オープン戦で結果を残せず、3Aでも結果を出せずに序列が上がらない中、さらに故障で離脱したとなると立場が厳しくなる。まだシーズンが始まって間もないですが、故障から復帰しても結果を残せないようだと、DFA(メジャーの40人枠から外れる措置) の対象になる可能性が出てきます。複数年契約の選手は最終年にDFAになることが多いですが、小笠原の場合は年俸が安い。球団が早い段階で決断するかもしれません」