「生理的に無理」ではないけれど

 今もそれなりに仲は良く、「生理的に無理」ではないが、「したい」という気持ちが全く起きない。出産後、夫から何度か誘われたが、「今日は疲れてる」「また今度にしよう」などと理由をつけ、避け続けてきた。女性はこう振り返る。

「子どもが生まれてから、夫はいつも子育てを“手伝うよ”というスタンスで、子育ての主体は常に私でした。それが続くと、いつしかパートナーという感覚が薄れ、自分ががっかりしないためにも、この人に期待しないでおこうという気持ちが強くなる。結果、昔はあったはずの夫に対する異性としての愛情が今はほぼないんです」

2人目はほしいから不妊治療へ

 それでも2人目はほしい。第1子にきょうだいをつくってあげたい。育児や家事に協力的とは言えない夫も、子どもへの愛情はしっかりあり、良い父親だと思う。自分への愛情もあると感じる。「したい」とは思えないが、だからと言って致命的に関係性が崩れているわけでもない。

「だから、性交渉ありきの自然妊娠を目指すのではなく、2人目は不妊治療を頼るのがいいかなと。子どもが家にいると、なかなかセックスするのが難しいというのもあって、“2人目は最初からシリンジ法や治療で”という人は私の周りにも結構います。今は自然妊娠に代わる手段がいろいろとあるから、そういう意味でも助かります」

ホルモンバランスの変化もある

 女性が産後、性欲がなくなり、性的なこと全般を受け付けなくなるのは、珍しい話ではない。ホルモンバランスの変化などから、性交渉以前にボディータッチも無理になったり、夫を生理的に受け付けられなくなったりするなどの例も聞かれる。

 そんな女性の変化に気づかないまま、夫が性交渉に誘うことが続くと、「なぜわかってくれないのか」「こんなに余裕がないのに、夫は性的なことを考える余裕まであるのか」と、夫婦の危機に発展するケースもある。

 産後のセックスレスについての調査(2022年、ベビカム「夫婦の性生活についてのアンケート」)によれば、回答者のうち、半数以上が「出産後、全くない」「年に数回程度」と回答。産後の性欲の変化について聞いた項目では、50.4%の人が「変化がある」と回答し、ほぼ全員が「関心がなくなった」と答えている。

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