日本はセックスレス大国
日本は、世界の中でも圧倒的に性行為の頻度が低い“セックスレス”大国だ。1年間でどれくらい性的アクティビティーがあるかを調査したデータ(Durex社)によると、最も回数が多いのはギリシャで、年間約140回。日本に近いアジア諸国では、80回程度が平均的だ。日本は45回。平均すると週に1回ペースという計算になる。つまり、世界でも飛びぬけてセックスレスなのだ。
順天堂大学医学部付属浦安病院泌尿器科の辻村晃教授は言う。
「日本人にとっては週1なら特別少ない感じはしないかもしれません。でも世界と比較すると断然少ない。この調査は2005年のもので、20年以上も前から“日本人は性的アクティビティーが圧倒的に少ない民族”といわれてきました」
70%がセックスレス状態
近年、その傾向はさらに加速している。辻村教授が副理事長を務める日本性機能学会は、2023年に、1998年以来25年ぶりとなる「性機能障害の全国実態調査」を実施した。20〜70代の日本人男性6228人の回答を得た大規模調査だ。
結果、婚姻関係にある夫婦のセックスレス(性交渉の頻度が1カ月に1回未満)の割合は64%。婚姻関係にないパートナーを含む場合では、全体の70%がセックスレス状態であることがわかった。
「セックスレスの割合は、軒並み上がり続けています。特筆すべきは若年層男性の性欲低下。自分の性的欲求を“全く感じない”と回答した20代男性は、30代よりも多い全体の20%以上にのぼることがわかり、現代日本人男性の性欲低下がはっきりと見て取れる結果になりました。調査では若年層のED(勃起障害)の激増も明らかになっています」(辻村教授)
好きなタイミングで性的刺激得られる
なぜこうした現象が起きているのか。
さまざまな理由が推測されるが、辻村教授は、デジタル時代の今、ネットに出回るアダルトコンテンツで「いつでも性的刺激が得られる時代になったことが大きい」と指摘する。VR(バーチャルリアリティー)技術の進歩によって、よりリアル感のあるアダルト動画が普及している影響も大きい。リアルの人間を相手にするより刺激が強い、高画質の動画で、いつでも好きなタイミングでマスターベーションができる。そんな環境に慣れてしまうと、「今後ますますセックス離れが進むのでは」と辻村教授は懸念し、こう話す。