「ネット上で展開される強い刺激に慣れた人ほど、生身の人間を相手にした時に性欲が落ちる、という仮説もあります。実際、調査では、対人のセックス回数は減っているのにマスターベーションの回数は減っていないことが判明しています。裏を返せば、“対人間”では満足しない男性が増えているということ。少子化を考えると深刻な問題だと思います」

レスでも特に困らない

 海外での講演経験も多い辻村教授だが、「日本人はセックスレスでも仲が良い夫婦が多い」と話すと、毎回決まって驚かれるという。海外では「性交渉をしていない夫婦が仲良くいられるとはありえない」とされているためだ。

「日本人は、性的な結びつき以外に、おそらく精神的な部分で大切なものを持っているのだと思います。もちろん妊活となるとセックスレスが課題になるものの、今は不妊治療など代替手段もたくさんあるから、大きな問題にはならない。セックスレスでも困らないし、仲が良いというのもまた、日本人らしさとも言えるように感じています」(同)

「レスでも特に困らない」という傾向は、今後ますます加速していくのではないか、という見方が強い。実際、性行為に代わる“新たな妊活の手段”も広がり始めている。ある意味、レス時代を象徴しているようにも見える、その手段とは――。

(ライター・松岡かすみ)

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