
東京ヤクルトスワローズに激震が走ったのは、373日ぶりにセ・リーグの単独首位に立ってから、わずか6日後のことだった──。
【写真】「2億円」が「400万円」に急降下 球史に残る“大減俸”を味わった選手がこちら
4月17日、阪神との試合を前にした神宮球場はヤクルトの練習中からポジティブな空気に包まれていた。チームは11日に昨年4月3日以来となる単独首位に進出したものの、12日のDeNA戦(横浜)、15日の阪神戦(松山)と立て続けに落として借金1。その時点で1試合平均2.67得点、リーグワーストのチーム打率.191と苦しむ打線にとっての朗報が、2022年には史上最年少で三冠王に輝いた主砲・村上宗隆の復帰であった。
オープン戦期間中に上半身のコンディション不良で離脱して1カ月あまり。久しぶりに神宮で行ったフリーバッティングでは右に左に柵越えを連発して状態の良さをうかがわせ、その後は守り慣れた三塁、そして右翼の守備位置でもノックを受けた村上は、練習を終えると復帰に当たっての意気込みを口にした。
「決してチーム状態がいいっていうふうには言えないですけど、なんとか勝ちを挙げられてますし、そこになんとか少しでも力になりたいなと思っているので。チームがいい方向に向かえるように、頑張りたいなと思います」
大松尚逸チーフ打撃コーチも「チームのみんなが(村上の復帰を)待っている状況で、ましてやチームとしてはなかなか数字も残ってないんで、打つ方は特にね。なので彼(村上)が入ってきて、他のバッターが刺激を受けたりとか、(相手のマークが分散されることで)どっしり構えられたりとか、いろいろ(効果が)出てくると思う」と語るなど、大きな期待を受けての復帰戦。村上は定位置の四番に座り、守備では一軍では初めて守るライトのポジションに就いた。
試合はヤクルトが終盤に逆転を許し、2点を追う9回裏の攻撃。2死から三番ドミンゴ・サンタナのタイムリーツーベースで1点差に詰め寄り、打席には前の回に今季初ヒットを放ったばかりの村上。ワンボールからの2球目に“事件”は起きた。