「早い段階でなんとかしなくちゃいけないっていう気持ちは持ってるんですけど、なかなかうまくいかないことの方が多くて……。ムネが抜けた穴は大きいかもしれないですけど、みんなで力を合わせてやるしかないと思うんで。やっぱり1人じゃ何もできないんで、自分の役割は何だって考えて、1人ひとりがそれを全うするべきなのかなと思います」
負ければ開幕から対巨人6連敗となる20日のナイトゲームでは、その中村の言葉どおりナイン1人ひとりがそれぞれの役割を全うした。1回裏、前日からの打順の組み換えで二番に入ったサンタナが安打で出塁すると、楽天からFA移籍して初の三番で起用された茂木栄五郎が先制2ラン。先発の新外国人ピーター・ランバートは何度もピンチを招きながらも、6回を2失点にまとめた。
ランバートの後を受けて同点の7回からマウンドに上がったのは、開幕から無失点を続けているドラフト3位の新人左腕・荘司宏太。髙津監督が「今の時期に新人を2イニング行かせていいのか、いろんなことを考えながら、無失点で行くにはどうしたらいいのかっていうところの選択で」と今季初めてルーキーのイニングまたぎを決断すると、8回には途中からライトに入っていた増田珠が、頭上を襲う打球をフェンスに激突しながらのスーパーキャッチ。さらにショートの長岡秀樹も二塁ベース後方に上がったフライをジャンプしながらグラブに収めるなど、バックも懸命に荘司を盛り立てた。
クライマックスが訪れたのは延長10回裏。先のプレーでヒザを痛めた長岡に代わって遊撃に移り、8回の打席でプロ初安打を記録すると、10回表の守備では二遊間へのヒット性の打球に飛びついてアウトにしてみせた2年目の伊藤琉偉が、2死二、三塁からレフトフェンス直撃のサヨナラ打。実に11日ぶりの勝利に、髙津監督も「(11日ぶりは)長いですよ、それは。いろんなことを考えますし、やっぱりネガティブになってしまうんですけども、週の一番最後に勝てたっていうのはいい週末を迎えたと思います。打つ方も投げる方もよくつないだと思いますね」と、安堵の表情を浮かべた。