「夫は卵子凍結からの体外受精に強い抵抗感がありました。妊娠や出産は神様に任せる領域であり、人や医療技術が踏み入る領域ではないという考えを強く持っていたのです。今でこそ子どもを溺愛していますが、これまで相当苦悩して葛藤してきたと思います。おそらく、その苦悩を思い出し、語るということに抵抗感を持っているため、夫が取材に応じるのは難しいと思います」
夫は取材には応じられないという結論だったのだが、「夫の協力を得られなかったことを受けて、私の取材はなしにしていただいても大丈夫です。より良い記事を書いてほしいので」と連絡があった。一連のやり取りを踏まえて、「この人の話を聞きたい」と素直に思った。もっと言えば、この夫婦が積み重ねてきた葛藤がどのようなものだったのかを知りたいと思った。