異性に遠慮しないで過ごせるのは別学のメリットのひとつだ(写真:Getty Images)
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 男女平等、雇用機会均等などで性別分業の意識改革は教育現場でも浸透し、性別に対するフラットな価値観を持つ若い世代は増えている。しかし親世代にまだその意識は低く、進路選択の際に無意識に“男だから、女だから”と意見することもあるようだ。AERA 2025年3月24日号より。

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女子高では、力仕事も学級委員長も当たり前に女性がやる。性別にとらわれない価値観が育ちやすいと言われる一方、共学よりも「男は働き、女は家庭」のジェンダー・バイアスが強く出る傾向にあるという調査結果もある。

そうならないために、どうすればいいのか。

 別学のなかには、独自のプログラムでジェンダーについて考える教育に力を入れている学校もある。

 東京都にある中高一貫の男子校・巣鴨。高い進学実績を誇ることで知られる名門校だが、男性ばかりの環境だからこそ、ジェンダーについて考える機会をあえて設けている。

男子校で意識改革

 同校で体育、技術、家庭科を教える黒木義郎さんは、2016年に大ヒットしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の「ガンバレ人類!新春スペシャル!!」(TBS系)を題材にした家庭科の授業を実施している。

「この『逃げ恥』はみくりと平匡の結婚生活3年目を描いているのですが、そこでは結婚や男女が一緒に働くこと、そして妊娠・出産を経て子育てへと進んでいく過程が描かれていました。さらに、選択的夫婦別姓や育児休業といったさまざまな要素も網羅されていたので、これは授業で使えると思い、取り入れました」

 ビデオを見ながら行われるとてもユニークで楽しそうな授業だが、生徒たちはまったく茶化すことなく、制度面についての具体的な質問などを積極的にしてくれるそうだ。さらに、生理用品メーカーで働くシングルファーザーを主人公に据えた「生理のおじさんとその娘」(NHK)も活用しているという。

「女性の生理や妊娠などについても、理解できるようになろう、と伝えています。かつて家庭科の授業では『男でもこれくらいできないといけない』と言っていましたが、(男だから、という意識を変えるため)今は『誰でもできるようになろう』と表現を変えています」(黒木教諭)

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性教育をタブーにせず