
当初予算案が国会で修正されたのは29年ぶり――。与党が過半数割れした影響が、国会運営にも変化を及ぼしている。これまでは与党が「数の力」で押し切り、形骸化していた国会だったが、もう野党の主張をむげにするわけにはいかなくなった。とはいえ、野党が政策で協調しているわけではなく、石破茂首相もどの党と手を組むのが一番都合がよいのか、うまく利用しているようだ。そして、各党ともすでに参院選を意識した動きに入っている。今後の見通しなどについて、政治ジャーナリストの安積明子氏に聞いた。
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2025年度予算案が3月4日、自民党、公明党、日本維新の会の賛成で衆議院を通過した。「有志の会」から北神圭朗氏と緒方林太郎氏、無所属の中村勇太氏も賛成した。予算案はすぐさま参議院に送られ、野党が反対したとしても、憲法では30日で自然成立することになっている。よって年度内の自然成立は不可能になってしまったが、参議院での審議次第で予算の年度内成立の可能性もなくはない。
国民民主に近寄り、維新に近づき
さて3月1日に都内で開かれた公明党の全国県代表協議会。斉藤鉄夫代表は「次期参議院選は事実上の政権選択選挙になる」と明言したと報じられた。そしてもうひとつ、重要な意見が噴出したという。衆参ダブル選の可能性だ。
「日本維新の会に対する強烈な拒否発言が出たそうです。『衆参同日選もあるかもしれないのに、一緒にやるわけにはいかない』と」
公明党関係者がこのように語る通り、昨年10月の衆院選で公明党は32議席から24議席と、8議席も減らしている。中でも大阪府下の4つの小選挙区で敗退したのは大きく、「常勝関西」は崩れ去った。その大きな原因は、維新が候補を立てたためだ。
衆議院で与党が過半数を割り込んだ結果、自公は野党の一部と連携せざるをえなくなった。「103万円の壁」問題をめぐって国民民主党に近寄り、「教育の無償化」をつてに日本維新の会に近づいたのも、衆議院で2025年度予算案を通すためだった。