そうしたことを意識し始めたのだろう、公明党は選挙を前提とした行動を始めた。たとえば清和会(安倍派)の裏金問題について今年1月、同派の事務局長だった松本淳一郎氏の国会での参考人招致について、公明党は採決の際に退場した。

 しかし同党の西田実仁幹事長は3月4日、自民党の森山裕幹事長らと会談し、下村博文・元文部科学相ら裏金復活に関与していたとみられる4人の同派幹部の参考人招致に賛成する可能性をにおわせた。同日の会見で西田氏は「4人は政治家という意味で(松本氏と)違う」と述べるなど、「政治とカネ」の問題に対する断固とした姿勢を有権者に見せようとしている。

玉木氏は維新への態度を軟化?

 国民民主党も玉木雄一郎代表が3月6日、「政府与党を動かさないといけない」と主張する吉村洋文・日本維新の会代表の主張に対し、X(旧Twitter)で「もし、『来年度から』ガソリン減税を実施することが前提であれば(必ずしも4月からでなくても結構です)、喜んで御党との協議に応じます」と述べて態度を軟化。「政府の負担減」にいそしむ自民党に揺さぶりをかけようとしている。

国民民主党の玉木雄一郎代表

 2025年度予算案の衆議院通過についてはなんとか乗り切ったものの、参議院では激しい攻防戦が予想される。予算案に賛成した日本維新の会も、「次期参議院選で与党を過半数割れに追い込む」ことを目標としている。

「29年ぶりの当初予算案の国会修正という異例のかたちとなったが、熟議の国会にふさわしいものになった」

 予算案が衆議院を通過した3月4日、石破首相は記者団にこのように答えている。野党に花を持たせるように見せて、実は政府与党がその“実”を取る。だがその「目くらまし」はいつまで続けられるのか。参議院選は4カ月後に迫っている。

(政治ジャーナリスト・安積明子)

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