
昨オフ、驚きの移籍で話題を集めたのは、田中将大(巨人)と上沢直之(ソフトバンク)だった。いずれも昨年は不本意な成績に終わり、物議を醸す形で移籍した。開幕が迫るなか、2人の現状を他球団はどう評価しているだろうか。
【写真】練習試合で7失点KO、先発ローテ入りが微妙な上沢直之
フォーム改造で球の強さが上がった田中
田中は昨年1試合登板のみ、プロ18年目で初の未勝利に終わった。オフに楽天から大幅減額での契約更新を打診されたが、「(楽天には)居場所がない」と自由契約を選択。なかなか移籍先が決まらず、まさかの現役引退かとも懸念されるなか、12月下旬に巨人と契約合意にいたった。
巨人で田中は久保康生巡回投手コーチの助言を受け、フォーム改造を断行。体全体が横振りになっていたメカニズムを縦振りに修正することで、直球の力強さ、キレを取り戻そうとしている。まだまだ発展途上だが、調整は順調だ。2月24日のロッテ戦は1回無安打無失点。今月2日のオープン戦・ヤクルト戦では2回2安打無失点。昨年2冠王に輝いた村上宗隆を直球で押し込んで左飛に仕留めるなど、ストライクゾーンに速い球を果敢に投げ込んだ。
映像で投球を確認したセ・リーグ球団の打撃コーチはこう分析する。
「高めに上ずる球がありましたが、昨年より力のロスのないフォームになり、直球の強さが上がっている印象です。変化球の精度はこれから上げていくでしょう。これから対策を考えることになりますが、勝つ術を知っている投手なので簡単に攻略できないでしょう」
阿部慎之助監督は早くも開幕の先発ローテーション入りを明言。ヤクルトと対戦する開幕カード3戦目の先発登板が有力視される。
「3戦目は日曜日で翌日は試合がないから、リリーバーをつぎ込めるという計算もあるでしょう。5回を最少失点で投げ切ってくれれば、6回以降は船迫大雅、高梨雄平、ケラー、大勢、R.マルティネスと強力救援陣で継投できる。田中は開幕して1カ月が勝負だと思います。ここで残り3勝に迫った通算200勝をクリアすれば、精神的にも楽になって投球によい影響を与える。逆に打者がまだ仕上がっていない春先に打ち込まれるようだと厳しい。本人も置かれた立場は自覚しているでしょう」(スポーツ紙デスク)