
練習試合で7失点KOされた上沢
一方の上沢。日本ハムからポスティングシステムによってメジャーに挑戦し、レイズとマイナー契約したのが昨年の1月。オープン戦で結果を残せず、開幕前にレッドソックスに移籍したが、メジャー登板は2試合のみでマイナーに降格。早々にメジャー挑戦を断念し、12月にソフトバンクへの移籍を決めた。ルール違反ではないものの、FA資格を得る前に日本ハムにメジャー挑戦を認めてもらって米国に渡り、1年足らずで他球団に移籍したことは批判を浴びた。
ソフトバンクでの初実戦は、3月1日の西武との練習試合だったが、先発して2回0/3を10安打7失点KOと、心配な出だしとなった。初回に無死満塁のピンチを招き、セデーニョに満塁本塁打を被弾すると、2回も2死満塁からドラフト2位ルーキー・渡部聖弥に押し出し死球を与えるなど3失点。生命線の制球が乱れて修正できず、3回も連打を浴びてマウンドを降りた。
「まだ調整段階ですし、とやかく言う必要はないと思います。ただ西武の打者が気持ちよくバットを振っているのを見ると、直球の走りがまだまだなのかなと。上沢はフォーク、カーブ、スライダー、カットボールなど多彩な変化球を駆使するスタイルですが、生命線は直球です。開幕に合わせて出力を上げることがポイントになるんじゃないですかね」(パ・リーグ球団のスコアラー)
まだオープン戦は始まったばかりで、1試合の乱調で神経をすり減らす段階ではない。昨年14勝で最多勝に輝いたソフトバンクの有原航平も、上沢と同様にメジャーで短期間プレーした後、ソフトバンクに移籍したが、移籍初年の23年はオープン戦で結果を残せず、開幕を2軍で迎えた。それでも6月上旬に先発ローテーションに定着して2ケタ勝利をマークしている。
かつてメジャーでプレーした日本人投手はこう語る。
「米国から日本球界に復帰する選手の多くは、米国で活躍できなくて戻るのだと思いますが、投球フォームのバランスが崩れているケースが多いんですよね。上沢の場合は詳しく分かりませんけど、オープン戦の投球を見ると、もう少し時間が掛かるんじゃないでしょうか。体のメカニズムを整えたり、投球フォームを修正したりとやるべきことは多いと思います。シーズンは長いので、状態が上がらないなら開幕をファームで迎えて調整する選択肢もあると思います」