ソフトバンクは代わりの投手が何人もいる

 上沢は4年総額10億円規模の大型契約でソフトバンクと契約し、先発の柱として期待されているが、その座を確約されているわけではない。昨季9勝を挙げたスチュワートが左腹直筋を痛めて春季キャンプ途中で戦線離脱したが、先発陣の競争は熾烈だ。有原、リバン・モイネロ、大関友久が当確。残りの3枠を上沢のほか、東浜巨、伊藤優輔、松本晴、濱口遥大、大津亮介、前田純、前田悠伍らが争っている。

 上沢が日本ハムに在籍していた当時に取材したスポーツ紙記者は、懸念を口にする。

「上沢は打たれると歯止めがきかない時がありますが、イニングを投げて調子を上げるタイプです。当時の日本ハムは先発のコマがそろっていなかったので、結果が出ない時期も先発の柱として起用され続けた。でも、ソフトバンクは違う。選手層が厚いので、代わりに投げられる投手は何人もいる。『結果を出さなければ1軍に残れない』という精神状態がパフォーマンスにどう影響するか。繊細な性格なので焦りにつながらなければいいのですが……」

 田中も上沢も、これまで以上に注目される中で開幕を迎える。ゴタゴタがあった移籍でも、「正しい選択だった」と結果で示すことができるだろうか。

(今川秀悟)

[AERA最新号はこちら]