2000年代前半は集客に苦労したヤクルト球団は米国からチケット販売専門家を招き、神宮の集客増に成功。近年はダイナミックプライシングという制度を活用して、さらに収益を伸ばしている。同時に物販の重要性に着目、球場周辺に球団直営ショップを複数展開するなどして売り上げを右肩上がりさせた。
「球団や選手関連グッズは他球団と大差ない品揃えだが、つば九郎というNPB屈指の人気キャラクターを抱えていることが売上増に貢献したのは明白。今後も商品によっては入手困難のレア商品が出て転売横行の可能性は高い。スポーツや芸能人などが必ず直面する問題」(スポーツマーケティング会社関係者)
つば九郎担当者が亡くなったことが報告された翌20日には、「2/19以降、Official Net Shopのご利用者数が急増しております」とお知らせが掲載されるほど。その後も売り切れ商品が出るなど、需要は今後も上がっていきそうな予感もする。「大谷翔平(ドジャース)人気に太刀打ちできるのは、つば九郎くらいじゃないでしょうか」(ヤクルト関係者)という声も大袈裟には聞こえない。
つば九郎が残した思い出とともに球団の発売するグッズに人気が集まること自体は悪いことではない。だが、それが転売などで“ビジネス化”することで、本当にグッズが欲しいファンの手元に届かないことは、つば九郎も望んでいないはずだ。
「グッズ転売に関しては具体的に取り締まる方法がないので、購入者の良心に委ねるしかない。つば九郎なら『てんばいするな』とフリップに書くでしょうが……」(ヤクルト関係者)
担当者の死去から時間も経過し始めているが、つば九郎の話題を見聞きしない日はない。グッズ転売など、人気アイドル同様のことが起きてしまうほどすごいキャラクターだったことが証明されている。当人は今の状況を、天国から笑いながら見ていそうな気もする。

