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未就学児が不登園になると、相談先や居場所がなくて困るケースもある。一昨年、娘が不登園になった静岡県の40代女性は、相談先がなく奔走した。通っていた私立幼稚園で園児からいやがらせを受けていたが園は対応してくれず、本人が登園を拒むように。市役所に相談すると「私立幼稚園の問題には介入できない」と言われ、相談先がないことを知った。転園先が決まるまで居場所もなく、毎日図書館で過ごした。
「小学生ならスクールカウンセラーや役所に相談できるし居場所の選択肢もある。でも幼稚園児にそういう術はありませんでした」
進級の壁
不登校は子どもの年齢によって課題も変わってくる。義務教育ではない高校生の場合、大きな懸念材料は「留年」だ。東京都の40代女性は、当時高校2年の娘が起立性調節障害で授業になかなか出席できず留年のピンチに。本人が転校を望んでいなかったため、寝たままの娘を夫と2人で担いで車に乗せて登校させたり、学校近くの宿泊施設に前泊させたりして出席日数を確保した。功を奏したのが中高一貫校に通っていたことだった。「周りの子たちは発症前の中学時代の元気な娘のことも知ってくれていたので、病気のこともよく理解してくれました」と女性は振り返る。
一方、中高一貫校ならではの苦悩もある。東京都の女性(41)の娘は、私立中高一貫校に入学してすぐの昨春から不登校になった。高い授業料を払っているのに恩恵を受けられていないまま1年が過ぎようとしている現状に、「悲しくてやりきれない」とこぼす。
「この先の進級はどうしたらいいのか。せっかく受験して頑張って入学したのに、という気
持ちも大きくて、『復帰してほしい願望』にすがってしまいます」
授業の進度も公立中より早く、独自の科目や一般的でない教科書を使った授業もあり、家庭での学習対策は難しいという。
不登校に対する理解は進んでいるものの、「甘えだ」という考え方もまだ社会にはびこっている。しかし正論ではどうにもならない現実がある。当事者の現状を正しく知り、心を寄せることが社会に求められている。(ライター・大楽眞衣子)
※AERA 2025年3月3日号より抜粋、加筆
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