
年々増え続けている不登校だが、その状況はさまざまだ。当事者が感じている「壁」とは何か。保護者たちのリアルな声を聞いた。AERA 2025年3月3日号より。
* * *
経済的負担の壁
文部科学省の調査ではフリースクールの平均月額会費は約3万3千円だが、スクールの形態はさまざまでかかる費用も幅がある。神奈川県の40代男性は、中学2年の娘が不登校になったことで生活が一変した。あまりにもふさぎこむ姿は親のストレスにもなった。「外に出るきっかけになれば」と公立中に籍を置きながら角川ドワンゴ学園が運営するN中等部に週3日通い始めたが、月々の費用は約7万円に上る。私立校在籍中に不登校になった場合、学費に加えてフリースクール等の費用の二重払いが難しく、フリースクールに通うのを諦めるケースもある。きょうだいで不登校の家庭も多く、そうなるとフリースクール代や毎日の昼食代もかさみ家計を圧迫する。
一方、通学圏内にフリースクールがないと悩む保護者もいる。小学4年の息子が不登校の千葉県の40代女性は、近くに通える居場所がなく、仕事の日は留守番させている。女性は「近所の不登校の小学生も1日中家で過ごしている。学校はオンライン授業もやってくれず、地域や学校によって差があるのはおかしい」と話す。公的な支援センターはあるが、利用者のほとんどが中学生で小学生は2人だけ。小学生の登下校には付き添いが必要と知り、仕事の調整がつかず利用を断念した。
低年齢の壁
小学1年と4年の息子たちがフリースクールへ通う東京都の30代女性は、2人のスクール代で月々6万円の出費がある。小学3年で突然不登校になった兄に続いて、入学したばかりの弟も行けなくなった。いつまで続くのか不安の波に襲われるが、その理由をつかみきれず、低年齢ならではのもどかしさを感じている。
「まだ自分の気持ちをうまく言葉にできないようで、学校に行かない理由をはっきりとは言えない。困り感をどう救ってあげたらいいのか分かりません」