これを証明できれば、B子は控除を受けられる

 正解は、B子は、実施に入居した日が令和6年になってからということを証明できれば、令和6年分で住宅ローン控除を受けられることになる。

 税務行政の中で「社会通念上」や「総合勘案」という言葉があるのだが、B子の場合、この判断に委ねることになる。流れから、「令和6年居住の用に供した」と言えるだろう。

 居住の用に供した日を証明するものとしてはガスの開栓証明や公共料金の支払いなどで証明すればよい。

 令和6年中に50万円返済し、借入残高が2850万円の場合、

 2850万円×0.7%=19万9500円

 B子の令和6年分の所得税の源泉徴収税額が19万9500円以上あれば、令和6年分は19万9500円還付されることになるのだ。

 住宅ローン控除は租税特別措置法であるため、これまで何度も改正されてきている。

 改正が多過ぎで理解が追いつかないという意見もあるだろうが、社会の移り変わりに応じた税務行政を執行するという点では評価すべきことだと思う。

 居住の用に供した年分ごとに扱いが異なる住宅ローン控除について、少ない紙面ですべてを説明することは不可能だ。しかし、住宅を購入しローンを組んだが住宅ローン控除を受けていないという方は、もしかすると、B子のように、控除を受けられる場合があるかもしれない。

国税OB税理士が解説「申告書作成の手順」

 送信までできなくてもとりあえず申告書を作成したいと思っているのに、スマートフォンだと申告書の作成の入り口で止まってしまったという人が多いようだ。パソコンならマイナンバーカードがなくても申告書を作成することができる。

 令和6年分だけではなく、過去の年分についても申告書の作成ができるので、申告しそびれたかも、という人はやってみるといいかもしれない。

 以下、簡単に手順を示してみよう。

「共通トップ 国税庁 確定申告書等作成コーナー」を検索

国税庁 確定申告書等作成コーナー 令和6年分 作成コーナートップ」が表示される

「申告書等を作成する」の項目で黄色字に緑の文字の「作成開始」をクリック

「税務署への提出方法の選択」のページが表示される

「提出方法に関する質問」
〈・マイナンバーカードをお持ちですか。〉の項目で
「いいえ」をクリック

「提出方法の選択」が表示される

「書面」をクリック

「確認」のボックスが表示されるが「このまま進む」をクリック

「~書面申告を選択された方へ~」のページが表示される
①年齢
②職業
③確定申告は初めてですか?
④書面提出を選択した理由を次の中からお選びください
すべてに回答し、
「このまま進む」をクリック

「確認のボックスが表示されるが「このまま進む」をクリック

「申告書等印刷を行う前の確認」が表示される

「利用規約に同意して次へ」をクリック

「作成する申告書等の選択」のページが表示される

国税庁 確定申告書等作成コーナー」より

 このページまでたどり着くことができれば、還付申告をしたいと思う年分の源泉徴収票を片手に入力しながら、実際に自分が確定申告して還付金が得られるのかどうかを検証することができるはずだ。あちこち見なくてもその年分のことだけが説明してあるので、わかりやすいと思う。

 ただし、サイトの仕様が変更になってしまったら使えなくなるかもしれないので、その際はご容赦願いたい。

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