令和6年分の住宅ローン控除で注意すべき「改正」とは
先に床面積は原則50m2と書いた。原則があれば例外がある。令和6年分の住宅ローン控除は床面積の改正があったのだ。
一定の条件を満たしていれば、40m2以上50m2未満の床面積であれば、住宅ローン控除に該当するというものだ。
その条件というのは、合計所得金額が1000万円以下の場合だ。
B子は今年40歳の会社員。管理職になり責任も重くなったが、それなりに仕事は楽しく、このまま定年まで働き続けたいと思っている。B子はネットニュースや人の噂話に興味がない。給湯室で長々と無駄話をしている女性社員をいつも横目に見ていた。年収はもう少しで1000万円に手が届くというところ。合計所得金額にすると、800万円になる。いつまでも家賃を払って賃貸マンションに住んでいるより、“自分の城”を手に入れたいと考え物件を探していた。令和5年10月、B子は念願叶って、2LDK(40m2)の新築マンションを3000万円で購入した。
自己資金100万円、住宅ローン2900万円を30年間で返済する予定だ。
会社員B子(40)は、お金を取り戻せるのか?
令和5年の年末、B子は数年ぶりに実家に帰った。年が明けてすぐに新居で生活できるように、引っ越し業者に荷物を運んでもらったのは令和5年12月29日だった。
令和6年の初出勤が1月4日だったB子は、その前日である令和6年1月3日から新居で住みはじめた。
役所に行って転入手続きに行ったのは令和6年1月5日。
届出用紙には、異動年月日と届出年月日を記入する欄があった。
B子はその時、深く考えることなく、異動年月日に令和5年12月29日と記入し、届出年月日の欄には令和6年1月5日と書いた。
さて、ここで問題を出そう。
B子は、住宅ローン控除を受けることができるのだろうか?
住宅ローン控除は引っ越しが年をまたぐ場合、注意が必要だ。
B子の場合、居住の用に供した日を令和5年12月29日だとすると、令和5年分の床面積基準は50m2以上なので住宅ローン控除は受けられない。
一方で居住の用に供した日を令和6年1月3日だとすると、令和6年分改正の床面積基準40m2以上50m2未満に該当し、合計所得金額が1000万円以下という条件も満たしているので、住宅ローン控除を受けることができる。