本連載の書籍化第5弾!『鴻上尚史のおっとどっこいほがらか人生相談』(朝日新聞出版)

【鴻上さんの答え】

 そむたさん。大変ですね。「多少の波風」なんてものじゃないですよね。3年間、家にお金を入れてないのですか。それで、そむたさんにお金を無心していたら、小説やTVドラマでは、「ヒモ」と呼ばれるレベルですね。

「私は完璧を追い求めすぎなんでしょうか」と書かれていますが、そむたさんが夫に要求していることは、きわめて当然のことだと思いますよ。

 仕事に関してのアドバイスも、対人関係への助言も、すべて、「当り前」のことだと感じます。

 そむたさんの夫の描写を読んでいて、思わず、落語に登場する「与太郎」を想像してしまいました。

 100万円もかけたパソコンの前で「趣味のサイトを見たり、好きな本を読んだり、時には居眠りを」しながら、「自分から人に会いに行く訳でも無く、起業のご祝儀代わりにお仕事を依頼してくださった友人知人を陰で呼び捨て」にするなんてのは、見事に与太郎ですね。

 こういうのは、他人の話として聞いていたら、のほほんとして可笑しいのですが、身内の話となると大変ですね。

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