最新テクノロジーで選手は強くなる? その落とし穴とは
三つ目は「選手の身体能力を向上させるためのデータ」だ。近年は選手の練習やトレーニング、コンディショニングなどの数値目標もデータとして示されており、それを行った結果もデータ化されるようになっている。
たとえば打者で言えば、バットのスイング速度を上げるための筋力トレーニングのメニューと数値目標があり、それを行った結果について、筋力の変化とスイング速度の変化がデータとして示されるという具合だ。打球速度や打球角度の数値目標を設定して、トラックマンや動作解析システムを使ってデータや画像を見ながら、バットスイングを修正するといった練習も行われている。
投手で言えば、ラプソードで投球の回転数や回転軸、変化球の曲がり幅や方向などを測り、投球動作の動画も見ながら投げ方を修正していく、というような投球練習が普通に行われている。動作解析システムを使い、投球時の全身の力の伝わり方をデータ化して確認するといったことも行われている。
こうしたデータやツールを使った練習やトレーニングによって、選手は自分の身体能力をより効率的に伸ばせるようになっているし、体の使い方のコツもより効率的に身につけられるようになっている。
しかし、それが実際の試合で、いいバッティングやいいピッチングにつながり、1試合だけでなく、1年を通して、あるいは何年も続けていい成績が残せるようになるかというと、やはり話は別になる。