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昨年、圧倒的な強さでパ・リーグを制したソフトバンク。今年も投打ともにタレントがそろい、戦力は充実している。先発陣では石川柊太がロッテにFA移籍し、和田毅が現役引退したが、不安はないだろう。レッドソックス傘下の3Aから、古巣の日本ハムのオファーを蹴って入団した上沢直之も、先発入りは確約されていない。「一歩間違えば1軍のマウンドに立てないのでは」と懸念する声もある。
「今年もソフトバンクは強いよ」
春季キャンプを視察する他球団のスコアラーから、ため息交じりの声が漏れている。
ブルペンの投球練習で存在を強烈にアピールしているのが2023年のドラフト1位で入団した、高卒2年目の前田悠伍だ。キャンプ初日に49球を投げると、3日に111球を投げ込んだ。オフに千賀滉大(メッツ)、今永昇太(カブス)と自主トレを行い、一流投手たちの思考、技術を学んだ左腕は精悍な表情になった。
「一番目立っていますね。想像以上に成長速度が速い。直球が力強くなり、スライダー、チェンジアップを含めて球の質が非常に高いです。高卒2年目に13勝を挙げてブレークした宮城大弥(オリックス)と重なります。1軍の先発ローテーションに入ってくる可能性が十分にあります」(パ・リーグ球団のスコアラー)
先発ローテに当確と言えるのは有原航平、モイネロ、スチュワートJr.の3人。残り3枠を巡る競争は熾烈だ。大関友久、大津亮介、東浜巨に加え、DeNAから加入した上茶谷大河、濱口遥大、巨人から甲斐拓也の人的補償として獲得した伊藤優輔、近未来に先発の柱として一本立ちが期待される前田悠伍や前田純、松本晴らがズラリと並ぶ。
そこに4年総額10億円の好条件で契約した上沢が加わった。上沢も投手層の厚さは十分承知のうえで決断しただろう。日本ハム時代はエースの立場で開幕に照準を合わせて調整していたが、ソフトバンクでは開幕前の実戦で結果を残さなければ1軍に居場所がなくなる。キャンプ2日目に初のブルペン入りした際は投球フォームを確認しながら、直球のほかにカーブ、スライダー、フォーク、カットボール、シュート、チェンジアップと多彩な変化球を投げ込んでいた。